楽しく遊ぶための初心者にもわかる電子工作のヒント:LED

ここでは、「LEDの交流点灯」「ダイナミック点灯」「変わり種のLED」について取り上げています。

LEDは交流でも問題なく点灯します

LEDは「発光ダイオード」と呼ばれるように、「ダイオード」の1種ですから、整流作用があります。

そのために、交流であっても、問題なく点灯するはずです。

この記事は、本来は交流を対象にしていませんが、ここでは、交流トランスを使って、LEDを点灯してみましょう。

写真は、100Vの家庭用の電灯線をトランスを使って、実測6.5Vの端子から、実測219Ωの抵抗と白色LEDを接続したものです。 

明るく点灯しています。

交流でのLED点灯交流電源で点灯させる

交流での点灯

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交流は、プラスマイナスの電流電圧が交互に入れ替わっており、LEDはどちら向けにつないでもOKです。 つまり、LEDで整流(半波整流)されて点灯します。

下のように、10個の白色LEDのプラスマイナスを交互にしてつないでみると、下の写真のように、問題なく点灯しています。

交流での点灯2

これも何かの折に覚えておくと使えるかもしれません。

・・・ですが、この電流制限抵抗の値を決めるときには、直流の考え方で、 (6.5-3.5)/0.015≒200Ω として、手持ちの220Ω(実測値219Ω)の抵抗器を用いたのですが、交流と直流では、何かが違うはずなので、実験して調べてみました。

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直流と交流でのLED点灯時の違い

直流(DC)6.5Vの場合と、交流(AC)6.5Vの場合、さらに、LEDの極性を変えて点灯してみました。 LEDは、普通タイプの2Vに20mAを流すことで考えます。

LEDの実測例直流の場合は、実測で20mA流れて点灯

これは、今までやってきたものですから、 (6.5-2)/219=0.021A から、ほぼ、計算通りの電流が流れて、明るく点灯しました。

つぎに、トランスを使った 交流6.5Vで、LEDの極性を変えて発光させてみると、どちらの極性でも、若干、直流の場合と比べると、輝度は下がっていますが、問題なく点灯しています。

オシロスコープでこの回路を見ると、半端整流された「脈流」です。 そこで、テスターで各部のAC電圧に加えて、DCレンジを使って電流測定したところ、次のような結果です。

交流点灯時のオシロ波形

このように、電源のAC6.5Vは交流のサイン波形ですが、LEDを通ると、半波整流されて、順方向では上側が、逆方向では下側で、電流が流れて、いずれも同じように点灯します。(便宜的に、下側電流をマイナス表示しています)

(備考)直流のように、交流の電圧電流の測定値は、整合性の取れた数字にはなっていませんが、この測定値は、単に、テスターで測定した数値で、数字の矛盾があるのですが、イメージしやすいように示したものです。

交流が、LEDによって整流されて、脈流状態でLEDが点灯しているのですが、もちろん、点滅しているはずです。

しかし、60回/秒の点滅は、人間の目ではわかりませんので、連続して点灯しているように見えている・・・という状態です。 

そして、全波交流の上下片側の電流の半分程度しか流れていないので、DC6.5Vと比較すると、かなり輝度は低くなっています。 

これは、半波整流によって、総電流量が低くなっているためなのでしょう。

もっとも、このように、LEDを、あえて交流で点灯させることは少ないと思いますが、100Vの1次側のパイロットランプなどに使うこともできます。

ちなみに、20mAで抵抗値を決めると、約半分の10mA程度が流れるので、AC100VにLEDをつなぐ場合は、 (100V-2V)/0.02A=4900Ω ですので、5kΩの抵抗を直列すると、100V交流でもLEDが使えます。

かつてのグローランプのかわりで使うこともできますが、ただ、あえて、こんな使い方をしなくても、回路の直流側で使うのが無難でしょう。


LEDのダイナミック点灯について

LEDを点灯させるときに、高速で点滅させると、人間の目には点滅が感知できなくて、普通に点灯しているように見えます。

これを利用して、街で見かける電光掲示板などでは、多くの情報文字を表示させる方法が取られているものがたくさんあります。

下は大阪空港の駐車場にあった、空状況を示した電光掲示板の例です。

目で見ると、すべての表示が「空」「OPEN」となって、問題なく読めるのですが、この掲示板の写真を撮ると、下のように、各部のLEDが点滅していて、シャッターの瞬間では、一部のドットしか点灯していないことがわかります。

これは、デジタル回路を用いて、それぞれのLEDを短時間で点滅させているのですが、人間の目には、残像のために、文字を構成するすべてのLEDが常時点灯しているように見えます。

これは、「ダイナミック点灯」と呼ばれる方法で、これによって、目で見ても、LEDを多数個が同時点灯して、はっきりと読める文字となって見えています。

ダイナミック点灯の表示板写真

このように多くの電力を消費する表示板には「ダイナミック点灯」技術が用いられています。

省電力のLEDといっても、表示させるドット数が増えると、流れる電流が増えるので、熱対策なにも、省エネ対策にも、ダイナミック点灯は欠かせない方法でしょう。

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これをするには、「タイマーIC」で点滅周期を決めて、「カウンターIC」を用いて、多数のLEDを順番に点滅させる方法が一般的ですが、このHPでは、デジタルについてはほとんど取り上げていないので、ここでは詳細には触れません。(こちらに関連記事あり

私自身で、タイマーを使って、どれくらいの周期であれば点滅が確認できるのか・・・ということを実験したところ、20回/秒以下であれば点滅しているのがわかりますが、それ以上の点滅になると、常時点灯しているように見えました。

そこで、例えば、30個のLEDを、ダイナミック点灯回路をつかって、高速点滅させると、LED1つ分の電流で30個のLEDを常時点灯しているように見せることが出来る事になるので、大きな省電力化が可能になります。 

マチナカでは、このような表示をしているものが多くあります。 写真をとってみると、全てきっちりと写っていなければ、このような方法で表示させているものですから、ちょっと気をつけているとわかります。


いろんなLEDが販売されています

砲弾型のLEDでも、いろいろな種類のLEDがあります。

LEDを購入した場合に、パッケージに「3.5V・20mA」などの仕様が書いてあればいいのですが、わからない場合が結構あります。

そのときは、まず、2Vで点灯させてみて、2Vでうまく点灯しなかったら3Vタイプ・・・と考えれば、ほとんどうまく使えますし、ほとんどのLEDは、20mA程度の電流を流して点灯させるものが多いので、それを基本にすれば、大きく外れることはないと思います。

写真の、3本足や4本足のLEDは、デジタル用途など、特殊な用途で使うものなので、ここでは、「7色点滅LED」について紹介します。


7色に点滅するLED

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Amazonに、同様のものが販売されています。 私が購入したパッケージには、順電圧3.5-4.0V LED5mm RGB自動点滅LED・・・とあります。 品番でWEB検索したのですが、データシートなどはわかりません。 しかし、データシートがなくても、通常に点灯させるだけでは、特に問題はありません。

このLEDはMade in China製で、嘘みたいに安い価格です。 そして、点灯させるとカラフルで、見ていても、非常に面白いものです。

これを、5V電源で220Ωの抵抗で点灯させると、問題なく明るく7色の光で、派手に点滅しています。
 →ユーチューブの画像を見る 

変わり種LEDの例

つまり、この条件で点灯させるのなら、「3.5Vで20mAで使用する」と考えて R=V/A=(5-3.5)/0.02=75Ω ですが、220Ωの抵抗では、 A=V/R=(5-3.5)/220 では7mA程度しか流れていないはずですが、問題なく点滅しています。 点灯させるだけでは、こんないい加減な方法でも不便はありません。

この7色点滅LEDを、写真のように点灯させたときの電流を測ると、約8.5~13mAと、かなり変動しています。

このLEDを抵抗器無しで、1.8Vで点灯させると、赤色の点滅のみで、7色点滅させるには、2.7V以上が必要でしたので、これは、3.5Vではなくて、「3VのLED」と考えると、 (5-3)/220 では10mAになります。 つまり、パッケージにある3.5-4.0Vにこだわることもなさそう・・・ということのようです。

こういう事もあって、私のLEDの点灯のやりかたは、普段は何も考えずに、5Vの電源で220Ωの抵抗を直列にして点灯させるようにしています。

このときもしも、2VのLEDであれば、 流れる電流は A=V/R=(5-2)/220≒0.014A で、3VのLEDであれば、 (5-3)/220≒0.009A となるので、どちらのLEDであっても、問題なく点灯します。 3Vタイプの白色LEDは、9mAの電流でも、十分に明るいです。

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この7色点滅LEDを交流で点灯させると・・・ダメでした

この7色点滅のLEDを「交流電源」につないでみました・・・ が、結果は、うまく点滅しません。 

点灯するのですが、7色の変色も点滅もしません。(このLED3つを並列にした写真です)

普通のLEDに交流を加えると、極性に関係なく、LEDの足をどちら向きにしても点灯しますが、このLED3つが点灯している状態で、は、3つのうちの1つの極性を入れ替えると、3つとも消灯してしまいますから、正負電流が影響しているようですね。

交流での点灯3

LEDはダイオードなので、半波整流されるためのようですが、このように、ともかく 「なんでもやってみる精神」でやってみると、結構遊べます。 

ともかく、何でもチャレンジしてみると、その過程で、面白いことに出会えるかも知れませんね。

LEDは気軽に色々なことを実験して楽しめます。 Amazonや楽天には、LEDを使った電子工作製品などがたくさん販売されていますし、このHPでも、LEDを使った記事を紹介しています。 ともかく、結構楽しめますよ・・・。


3Vタイプの高輝度LEDを乾電池で50個のLEDを点灯

最近は、高輝度のLEDも安く手に入りますし、面発光する小さなLEDも安価で販売されています。

高輝度LEDは、標準は15mA程度の電流で使いますが、3mA程度の少ない電流でも、結構明るく輝きます。 むしろ、室内のイルミネーションでは、15mAでは明るすぎる感じです。

写真のLEDは発光面が1x2mmと小さく、3mA程度の電流で結構明るく発光するので、乾電池3個を使って、制限抵抗を入れて3mA流れるようにすれば、50個x3mA=150mAなので、単3や単4乾電池で、簡単にイルミネーションができます。

太陽電池を使った100球程度のクリスマスイルミネーションも、2,000円以下の価格で販売されています。

本来、LEDは、色や製品ごとでLEDの特性差があるので、いろいろなものを組み合わせる場合には、ブロックに分けたり、個数を調節するなどの細工が必要になるかもしれませんが、このような単色だけを多数個点灯する場合には、難しいことを気にしなくてもうまく発光してくれます。

いろいろなものを組み合わせる場合でも、これまでやってきた、LEDの電圧電流特性から、何らかの対策が打てますから、ぜひ、オリジナルなLEDのイルミネーションを作って見てください。

特に重要なことは、熱に対する配慮です。 3Vタイプの高輝度LEDは、3~5mA程度の電流で、非常に明るいので、使いやすいのですが、どのような場合でも、電流と熱に対する検討と安全対策を忘れないようにお願いします。

LEDは安価で、電子工作では扱いやすい部品です。 いろいろなことを考えてやっていくだけでも、結構楽しめますので、ぜひ、手を動かして楽しんでください。

そして、Amazonや楽天には、LEDを使った電子工作製品などがたくさん販売されています。下のリンクを参考に、アイデアをねって遊ぶと、結構楽しめるでしょう。


→ Amazonの電子工作用LEDのページへのリンク  

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